俳句を作る前に、まず「夏の季語の時間軸」を頭に入れておきたい。俳句の世界では夏を大きく三夏(さんか)・初夏(しょか)・仲夏(ちゅうか)・晩夏(ばんか)の4つに区分する。俳句結社「炎環」の公式解説によれば、夏の基準となる期間は立夏(りっか、5月5日頃)から立秋(りっしゅう、8月7日頃)の前日までとされており、一般的な「感覚の夏」とは1〜2週間ほどズレが生じることが多い。
この時間的ズレこそ、俳句初心者が季語を使い間違える最大の落とし穴だ。たとえば「梅雨」は仲夏の季語であり、感覚的には「初夏」のイメージを持つ人が多いが、歳時記上は6月〜7月初旬に位置する仲夏に分類される。
三夏とは「夏の三ヶ月すべて」を指す概念で、夏全体を通じて使用できる季語群だ。初心者が最初に覚えるべきは三夏の季語から。「暑し」「涼し」など、一見シンプルに見えながらも俳句に深みを与える基本語を押さえることが上達の近道だと、歳時記研究者の多くが口を揃える。