藤原けいじ氏の役者人生において、最大の代名詞といえば『クレヨンしんちゃん』の野原ひろしです。1992年の放送開始当初から足掛け24年にわたり演じ続け、足の臭いさえも愛嬌に変えてしまう「日本一頼りがいのある等身大の父親像」を見事に造形しました。劇映画シリーズ『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』(2014年)などで見せた家族を守る男の覚悟は、子ども向けアニメの枠組みを超えて数多くの大人の涙を誘いました。
吹き替えの領域においても、彼の功績は圧倒的です。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の象徴である映画『アイアンマン』では、ロバート・ダウニー・Jr.が演じる主人公トニー・スタークの日本語吹き替えを長年にわたり担当しました。軽薄さと天才特有の苦悩、そして自己犠牲のヒロイズムを抱える複雑なキャラクターを、藤原氏独特の洒脱なリズムとハスキーな低音で見事に表現し、「ダウニー・Jr.本人の声以上にキャラクターの感情が胸に刺さる」と映画ファンから絶賛を浴びました。
アニメ、外画、ゲームの各ジャンルで演じた主要キャラクターと、逝去後に引き継がれた後任声優の対応関係を整理したデータは以下の通りです。
このほかにも『鋼の錬金術師』のマース・ヒューズ、『HUNTER×HUNTER』のレオリオ、『銀魂』の服部全蔵など、藤原けいじキャラ一覧を振り返ると、単なる二枚目にとどまらない「どこか人間臭い欠落や哀愁を抱えた愛すべきキャラクター」が並びます。彼の声が入ることで、二次元の絵に体温が宿り、生々しい人間ドラマへと昇華された事実はファンの共通認識となっています。