クマと遭遇した際、昭和の時代に流布した「死んだふり」や「木登り」は絶対に行ってはならないNG行動です。ヒグマは死肉も好んで食害するため格好のエサになり下がるリスクがあり、ツキノワグマに至っては人間より遥かに速く木を登るため格好の標的になります。
山林や出没警戒エリアに入る際、最も信頼性の高い自衛手段となるのが「高濃度クマスプレー(カプサイシン系)」の携行です。国内外の検証データにおいて、適正な距離(約5〜8メートル)でクマの目や鼻に向けて噴射した場合、90%以上の確率で攻撃を阻止できることが実証されています。登山用リュックの奥底ではなく、胸元や腰のホルスターに装着し、1秒以内に抜刀できる状態にしておくことが不可欠です。
もしスプレーがなく、クマと至近距離で鉢合わせしてしまった場合は、以下の行動手順を厳守してください。
① 絶対に背中を向けて走って逃げない:クマは逃げるものを反射的に追いかける捕食本能を持っています。時速50km近くで走るクマから人間が逃げ切ることは不可能です。
② 目を離さず、ゆっくりと静かに後退する:大声を上げて手を振り回すとクマを過剰に刺激します。静かに声をかけながら後ずさりして距離をとります。
③ 突進されたら「クラーチ姿勢」で急所を死守:物理的な接触を避けられない場合は、うつ伏せになって地面にお腹をつけ、両手で後頭部と首の後ろを固くガードします。バックパックを背負っていれば背中側の盾になります。急所である顔面、首動脈、内臓を守り抜き、致命傷を防ぐ最終防衛姿勢です。