警察庁が公表する暴力団勢力推移のデータを見ると、2000年代初頭に数万人規模だった構成員・準構成員数は激減を続け、2026年現在は1万人台前半という過去最少水準を更新し続けています。
現在の暴力団界において、かつてのような「武闘派」を名乗る勢力はほぼ絶滅状態にあります。組員の平均年齢は50代後半から60代以上へと著しく高齢化しており、若者が暴力団の看板を背負って体を張るメリットは完全に消失しました。銀行口座の開設すらできず、家族への影響も避けられない暴排条例の徹底が、武闘派の再生産構造を完全に断ち切ったためです。
しかし、暴力の火種が社会から完全に消えたわけではありません。最も懸念されているのが、旧武闘派ヤクザの残党やノウハウが、SNSや闇バイトを通じて離合集散を繰り返す「トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)」へ接続している現実です。強盗や特殊詐欺を指示する上層部に旧組員が関与し、使い捨ての実行役を動かす新たな地下ネットワークが形成されています。かつての任侠道や組織の掟といった建前すら存在しない、極めて無機質で残忍な暴力が形を変えて社会を脅かしています。