アレルギー検査の定番である「View39(一度に39種類のアレルゲンを調べる血液検査)」において、真菌グループの筆頭として測定されるのがアルテルナリア(Alternaria)です。学術的には糸状菌(不完全菌類)に分類され、国内では「ススカビ」という通称で知られています。顕微鏡下では手榴弾や棍棒のような特有の形状をした胞子を形成し、肉眼では黒褐色からススのような黒っぽい塊として観察されます。
アルテルナリアが医学界で極めて危険視される理由は、その胞子の大きさと強烈な抗原性にあります。一般的なカビ胞子の多くが数マイクロメートルであるのに対し、アルテルナリアの胞子は約20〜40マイクロメートルとスギ花粉並みの大きさを持っています。このサイズゆえに上気道から下気道にかけて沈着しやすく、気管支粘膜に付着した瞬間に炎症反応のスイッチを入れてしまうのです。
土壌や植物の枯死体など屋外に広く常在している菌ですが、胞子が衣服や換気口を通じて容易に室内に侵入します。現代の高断熱・高気密住宅においては、一度室内に侵入した胞子がエアコンの風や室内の気流に乗って循環し続け、住人が知らず知らずのうちに高濃度のカビ胞子を吸入し続ける温床を作り出しています。