野球ギアファンの間で長年議論の的となっているのが、「湯もみ型付けを行うと革の繊維が壊れ、グラブの寿命が縮む」という言説です。この噂の真偽を検証すると、半分は誤解であり、もう半分は「非正規施工の事故」に起因していることが判明しました。
素人が自宅の風呂場で熱湯に浸したり、温度管理を怠ったまま乾燥機に入れたりした場合、革のタンパク質は熱変性を起こして硬化し、乾燥後にひび割れを起こします。これがネット上で拡散された「湯もみ劣化説」の正体です。久保田運動具店の直営店や公認の熟練職人が行う湯もみは、革のなめし状態を見極め、湯の温度を1度単位で調整したうえで、革の中にある余分な油脂と接着糊だけを適度に乳化させて押し出します。さらに、陰干しで数日間かけて均一に水分を抜き、失われた油分を専用スクワランオイルで緻密に再補給するため、組織が破壊されることはありません。
もうひとつの盲点は、ポジションとプレースタイルの不一致です。久保田スラッガーの内野手用グラブは基本的に「当て捕り」「挟み捕り」を前提とした浅めのポケット設計が多くなっています。これをウェブの網の奥深くにボールを押し込んでガッチリ掴む「掴み捕り」の感覚のまま扱おうとすると、ポケット以外の部分に無理な負荷がかかり、ボールが弾かれる原因になります。「スラッガーのグラブは弾きやすい」というネガティブな口コミの多くは、プレイヤー自身の捕球技術や求めるプレースタイルとのミスマッチから生じているケースがほとんどです。