一方、人名としての「横浜」に直結する最大の契機となったのが、李相日監督がメガホンをとった2022年公開の映画『流浪の月』での共演です。本屋大賞を受賞した凪良ゆうの傑作小説を映画化した本作で、広瀬すずは過去に誘拐事件の被害女児とされた家内更紗役を、横浜流星はその婚約者でありながら彼女への歪んだ独占欲からDVに走ってしまう中瀬亮役を演じました。
役作りの過酷さは公開当時の特番インタビューや公式プロダクションノートでも克明に記録されています。李相日監督の徹底したリアリズム指導のもと、横浜流星は役作りのために撮影期間中、減量と孤独な生活を徹底。広瀬すずもまた、心身ともに削られる緊迫したシーンの連続に対峙しました。
完成披露試写会や舞台挨拶インタビューで明かされた「撮影現場での膝枕エピソード」はファンの間で大きな反響を呼びました。精神的に追い詰められる役柄ゆえに、監督からの指示で二人が物理的な距離を縮めるため、控え室で広瀬が膝枕をして横浜が身体を預けるという濃密なリハーサルが敢行されたのです。公の場で見せた互いへの全幅の信頼感と、作品で見せた凄惨な関係性とのコントラストが、映画ファンの心を強く捉えました。