夏ドラマの真骨頂といえば、青空や夕暮れの海を背景にしたロマンティックな恋愛模様です。とりわけフジテレビの看板枠「月曜夜9時(月9)」は、数多くの夏ドラマおすすめ恋愛名作を世に送り出し、若者文化のトレンドセッターとして君臨してきました。
月9夏ドラマ歴代人気において不動の地位を保ち続ける作品の特徴は、「夏の訪れとともに始まり、秋の気配とともに完結する」というリアルタイムの季節連動性にあります。
代表格である『ブザー・ビート』では、プロバスケットボール選手としての将来に悩む直輝(山下智久)と、プロの演奏家を目指す莉子(北川景子)の距離感が、夏の蒸し暑さと相まってじれったくも美しく描かれました。莉子がアパートの窓辺から公園で練習する直輝に向かって「行けー!」と叫ぶ名シーンは、令和の若者が視聴しても色褪せないカタルシスを放っています。
また、海辺の民宿を舞台にした恋と友情の交錯、都会のオフィスビルから抜け出して避暑地で芽生える恋情など、夏のドラマは「日常からの脱出」を巧みに描き出します。暑さで開放的になる反面、ふとした瞬間に訪れる「秋への恐怖」や「別れの予感」がスパイスとなり、他クールにはないドラマチックな胸キュン構造を完成させているのです。