臨床の現場では「上の子に比べて下の子はモロー反射が激しい」「少しの足音で飛び起きる」といった相談が頻繁に寄せられます。同じ月齢の乳児であっても反応の強さに個体差が生じる背景には、いくつかの明確な理由が存在します。
第一に挙げられるのが、赤ちゃんの感覚過敏性と神経系の成熟スピードの差異です。出生体重や在胎週数、個々の気質によって、外部環境に対する受容閾値には幅があります。特に生後1ヶ月から3ヶ月頃は感覚器官が急速に発達する一方で、運動を抑制する中枢神経回路の形成が追いつかず、外部刺激に対して最も過敏に反応しやすい時期にあたります。
第二に、母子環境のストレスと睡眠深度の浅さです。新生児の睡眠周期は約45分から60分と極めて短く、その大半を浅いレム睡眠が占めています。レム睡眠中は筋肉のトーヌス(緊張度)が緩んでいるため、わずかな刺激でも「外転(手を広げる)→内転(抱きつく)」というダイナミックな二相性運動が顕著に現れやすくなります。