クラゲの大量発生がもたらす影響は、単なる景観の悪化や遊泳の中断にとどまりません。もっとも切実な打撃を受けているのが沿岸漁業です。定置網や底引き網に大量のクラゲが入り込むと、その圧倒的な重量によって網が破網・破損する事故が頻発します。網の中で圧迫された魚の魚体が傷つき、クラゲの粘液や毒によって商品価値が失われる被害額は、過去の大発生年で数百億円規模に達しました。
もう一つの重大な脅威が、沿岸部に位置する火力発電所や原子力発電所の取水口トラブルです。発電タービンを冷却するために毎秒数十トンもの海水を取り込む取水口にクラゲの大群が押し寄せると、ゴミを除去する回転式スクリーンが目詰まりを起こします。取水量が不足すれば、安全装置が作動して発電出力を急遽抑制したり、最悪の場合は発電機が緊急停止したりする事態に発展します。電力供給の安定が至上命題となる中、取水口へのクラゲ破砕機(クラゲカッター)の配備やカーテン状のエアバブルによる阻止設備の導入が進められています。