直線的な筒と1本の糸だけで、なぜ支えのない頑丈な多面体が組み上がるのか。その答えは、幾何学における「トラス構造(三角形の剛性)」に隠されています。四角形は外からの力で容易に平行四辺形へとひしゃげてしまいますが、三角形は3辺の長さが決まれば形状が一切歪みません。ヒンメリはこの三角形の集合体によって成り立っています。
北欧ヒンメリ星オーナメントの代表格である「星型八面体」や「小星型十二面体」を模したデザインでは、連続して三角形を作りながら糸を引き絞ることで、平面に並んでいたパーツ同士が互いに引き合い、自然と外側へせり出します。張力(テンション)が均等にかかることで接着剤を一切使わずに自立する立体へとトランスフォームする仕組みは、数学的でありながら極めて有機的です。この力学の面白さこそ、世界中のクラフト愛好家を虜にし続ける最大の理由といえます。