では、なぜ「たらこ 死因 als」という検索フレーズがこれほど強固に定着してしまったのでしょうか。そこには情報社会特有の3つの盲点が存在します。
第1に、筋萎縮性側索硬化症声優関連の別ニュースとの混同です。声優界では、人気キャラクター「ニャンちゅう」の声を長年務めた津久井教生さんが2019年にALSを発症したことを公表し、闘病しながら音声合成技術を活用するなど精力的に情報発信を行ってきました。この「有名声優の難病公表」という強烈な印象が、別の声優の訃報とネットユーザーの記憶の中で無意識に結びつけられた可能性があります。
第2に、検索エンジンのサジェスト汚染です。誰かが「声優の死因はALSではないか?」と一度検索すると、関連語候補に「死因 ALS」が表示されるようになります。それを見た別のユーザーが「もしかしてALSだったのか?」と連鎖的に検索を重ねることで、事実無根のキーワードが上位に固定化されていくアルゴリズムの罠が存在します。
第3に、著名人のちびまる子ちゃん声優訃報という関心の高さゆえに、「病名非公表」という空白を埋めようとする人間の認知心理が働いた点です。人間は不可解な事態や急な死に直面した際、具体的な理由を見つけて納得したいという心理的欲求(認知的不協和の解消)を抱きます。その結果、信憑性の乏しい噂話がもっともらしい「真相」として消費されてしまったのです。