甲子園球場が他の屋外球場と一線を画す最大の理由が、グラウンド整備を担当する「阪神園芸」の技術力と、球場本来の卓越した透水性能です。甲子園のグラウンドは、黒土と砂の配合比率(春・夏・秋で季節ごとに調整)が綿密に計算されており、下層には特殊な暗渠(あんきょ)排水パイプが張り巡らされています。
現場取材や関係者の証言によると、通常の球場なら水たまりができるような1時間あたり1〜2mm程度の雨であれば、阪神園芸のスタッフが吸水スポンジや乾燥砂を投入することで、わずか十数分のインターバルでプレー可能な状態へと復元されます。SNS上でも「泥沼だったグラウンドが魔法のように乾いた」と驚嘆の声が上がるのはこのためです。
しかし、グラウンド整備にも物理的な限界が存在します。審判団および主催者(プロ野球公式戦なら阪神タイガース・NPB、高校野球なら高野連)が雨天中止・雨天順延を決断する実質的な基準は以下の通りです。
- ピッチャーズマウンドおよびバッターボックスの足場不良:投球やスイング時に踏み込み足が滑り、選手の故障リスクが高まった場合。
- 打球・送球の視認性低下:激しい降雨や靄(もや)により、フライの視認が困難になり危険と判断された場合。
- 雷雲の接近:球場周辺に雷注意報が発令され、落雷の危険性が生じた場合は降水量に関わらず即時中断・中止となります。
- 1時間あたり3mm以上の継続的豪雨:排水能力を上回り、グラウンド全体に水膜が張った状態。