インターネット上では「最近のパリコレは多様性を重視しているから、日本人モデルも出演しやすくなった」という楽観的な言説が散見されます。しかし、現地のキャスティング実態を追跡すると、そこには依然としてシビアな「トークニズム(見せかけの多様性)」と「アジア枠の奪い合い」が存在します。
ひとつのメゾンが起用するモデルが全40名だと仮定した場合、アジア系モデルに割り当てられる席は多くて3〜5枠程度。その限られたシートを巡り、現在では巨大なラグジュアリー消費市場を抱える中国出身モデルや、K-POPブームの後押しを受ける韓国系モデルと激しい争奪戦を繰り広げなければなりません。スポンサー企業や市場の購買力とキャスティングは冷徹に直結しています。
また、「美しければスカウトされてトントン拍子に有名になれる」というのも大きな誤解です。現地でのオーディションは1日に十数件を徒歩や地下鉄で駆け巡り、数秒間のウォーキングで合否を言い渡される過酷な現場。語学力や精神的なタフネスを持たない者は、どれほどプロポーションに恵まれていても数シーズンで淘汰されていくのが偽らざる真実です。