「はい、お待たせ!」という威勢の良い掛け声とともに運ばれてきた一皿に、取材スタッフの口からは思わず言葉が漏れた。
通常、オシャレなビストロであれば数枚が綺麗に並べられるはずの生ハム。しかし、この店では違う。薄切りにされた生ハムが幾重にも重なり合い、高さ20センチを超える巨大な塊となって鎮座している。添えられたグリッシーニはもはや支柱の役目すら果たしていない。
「削りたてが一番美味いからね。減ったらまた言って」と笑う店主。客が引くほどのボリュームだが、ひとくち食べればしっとりとした脂の甘みと絶妙な塩気が口いっぱいに広がる。質を落とさず量だけを極限まで増やした職人技に、店内からは溜息と笑いが同時に漏れていた。