逃亡者を長年追い続けた警視庁公安部にとって、この事件は威信をかけた戦いだった。街頭の手配ポスターに印刷された若い日の写真は、昭和の記憶とともに全国の交番に掲示され続けたが、身元確認の手がかりは半世紀近く途絶えていた。
捜査当局が特に注視してきたのは、潜伏を裏で支えた地下支援組織や協力者の存在だ。単独での逃亡生活には限界があるとの見方が強かったものの、実際の潜伏実態は個人レベルでの徹底した孤立と偽名生活に基づいていたとされる。しかし、協力者の介在を完全に否定できない点も多く、公安当局による関連人脈の精査と検証作業は今も厳重に続けられている。