本作りにおいて最も基本的な落とし穴が、製本方式による背表紙の有無です。「本を作るのだから当然背表紙があるはずだ」と思い込み、入稿直前にデータ不備で差し戻されるトラブルは後を絶ちません。
背表紙が物理的に形成されるかどうかは、採用する製本形式によって明確に分かれます。
1. 無線綴じ製本:しっかりとした背表紙が生まれる構造
無線綴じ製本は、本文の背側を強力な糊(EVA系やPUR系ホットメルト糊)で固め、一枚の表紙用紙でぐるりと包み込む製本方法です。文庫本、新書、商業コミックス、ボリュームのある同人誌や学術書などに広く採用されています。本文の厚み+表紙の厚みがそのまま直角の「背」を形成するため、独立した背表紙が存在します。
2. 中綴じ製本:構造上「背表紙なし」となる構造
一方の中綴じ製本は、開いた状態の紙を重ね、中央の折り目を針金(ステープラー)で留める方式です。週刊誌、パンフレット、ページ数の少ない同人誌(コピー本や20ページ前後の薄い本)で多用されます。中綴じは中央で二つ折りにするだけであるため、物理的な厚みの面=背表紙が存在しません。
自費出版や同人誌制作の初心者が陥りがちなのが、「中綴じ背表紙なし」の仕様であるにもかかわらず、表紙データの中央に無理やり背表紙用の帯やタイトル文字を配置してしまうミスです。中綴じの場合は、背幅0mm(背表紙なし)として表1と表4を見開きでそのまま繋いだデータを作成しなければなりません。