動物病院の診察室や各種SNS、コミュニティ掲示板には、初めて子猫を迎えた飼い主たちからの切実な声が日々寄せられています。「呼んでも撫でても完全に脱力して起きない」「お腹を上に向けてピクリとも動かず、呼吸が止まったかと思った」という相談は、獣医師が受ける日常的な問い合わせの上位を占めています。
臨床現場の獣医師らの観察によると、子猫は大人猫に比べて「警戒心を生み出す防衛本能」が未発達なため、安心できる環境下では驚くほど無防備な姿勢で眠りに落ちます。床に落ちたぬいぐるのように完全に手足を投げ出したり、白目をむいて口を半開きにしたりする姿は、むしろ精神的なストレスが極めて少ない環境である証左です。
また、多くの飼い主が肝を冷やすのが、子猫が寝ている時にピクピクと痙攣する現象です。手足が不随意に動いたり、耳やヒゲが細かく震えたり、時には小さな鳴き声を漏らしたりします。「てんかん発作ではないか」と慌てて夜間救急に駆け込むケースも散見されますが、これは医学的には浅い睡眠(レム睡眠)の最中に生じる生理的な筋収縮運動です。日中に体験した刺激を脳内で情報処理し、運動神経のシナプス回路を急速に形成している段階で起きる正常な生体反応であるため、無理に揺り起こさず温かく見守ることが推奨されます。