男社会である裏社会において、結婚式は「極道の妻(姐さん)」の存在感が最も際立つ瞬間でもあります。
組長の妻である大姐(おおあね)は、最高級の黒留袖や格式高い和装を完璧に着こなし、親分衆の隣で凛とした立ち振る舞いを見せます。全国から訪れる大物組長たちに対して、一分の隙もない完璧な挨拶とお酌を行い、組織の品格を内外に示す役割を担っていました。
また、「組長の娘」が嫁ぐ結婚式は、組織にとって最高機密かつ最大級の慶事となります。
跡目候補と目される若手有望株と結婚するケースでは、将来の組織継承を内外に宣言するお披露目興行の意味を持ちました。一方で、娘が一般男性と結婚する場合には、父親である組長は自身の身分を隠すか、あるいは極道関係者を一切呼ばずに一般人として式を執り行うなど、愛娘の将来を案じた苦渋の配慮がなされることも少なくありませんでした。