姫路文学館の常設展示は、播磨地方にゆかりの深い文人たち――哲学者・和辻哲郎、小説家・阿部知二、椎名麟三、歌人・初井しづ枝らの足跡を体系的に辿る構成になっています。しかし、同館の探求の深さを象徴しているのが、南館に常設されている「司馬遼太郎記念室」です。
国民的作家である司馬遼太郎氏は、名作『播磨灘物語』で黒田官兵衛の生涯を描き出すなど、播磨の風土に格別の愛着を寄せていました。記念室には、膨大な取材メモ、自筆の原稿、愛用していた眼鏡や万年筆などの遺品が展示されており、作家が時代を見つめた鋭い眼差しと息遣いを間近に感じ取ることができます。取材に訪れた文芸関係者からも「作家の内面世界へ潜り込むような濃密な空間構成」と高く評価されています。
また、2026年最新の特別展・企画展では、伝統的な純文学の枠にとどまらず、現代の人気絵本作家の原画展、マンガ・アニメーションの表現論、さらにはデジタルアーカイブを活用した没入型文芸展まで、多彩な切り口の企画が展開されています。文学の裾野を広げる柔軟なキュレーションは、子ども連れのファミリーから研究者層まで幅広い来館者を集める原動力となっています。