時計の針を少し巻き戻す必要がある。彼女の人生を語る上で、元横綱・貴乃花光司氏との23年間にわたる婚姻生活を避けて通ることはできない。1995年の華やかな結婚会見から一転、待っていたのは貴乃花部屋の女将としての重責だった。早朝からの弟子たちの食事の準備、後援会への気配り、そして伝統を守る重圧。彼女は華やかな表舞台を完全に退き、黒子として相撲界に尽力した。
しかし、日本相撲協会との激しい対立や部屋の消滅など、相撲界を取り巻く嵐の中で夫婦の歯車は徐々に狂い始める。常に世間の耳目を集め、プレッシャーに晒され続けた日々の果てに訪れた2018年の「卒婚」という名の離婚。それは、お互いが選んだ最善の幕引きであり、同時に彼女が「河野景子」という一人の人間に立ち返るための必然のプロセスでもあった。
重圧から解放された彼女が見せた表情の変化は、長年彼女を見守ってきた関係者の間でも大きな話題となった。