かぐや姫の物語で帝のあごはなぜ伸びた?高畑勲が仕掛けた作画の謎

かぐや姫の物語で帝のあごはなぜ伸びた?高畑勲が仕掛けた作画の謎

かぐや姫の物語で帝のあごはなぜ伸びた?高畑勲が仕掛けた作画の謎の疑問点について、専門知識を詳しくお届けします。

作画監督・人物設計を担当した田辺修と高畑監督のやり取りは、一筋縄ではいかないものだった。アニメーション制作業界において、圧倒的なデッサン力と表現力で知られる田辺は、単なる記号的なアニメ顔を徹底して排除した。

従来の劇場アニメであれば、権力者は威厳に満ちた美形か、あるいは露骨な悪人顔として描かれがちだ。しかし田辺の手によって引かれた線は、動くことで真価を発揮するスケッチのような生命感を宿す。帝の鋭利なあごも、固定された「静止画のデザイン」ではない。表情が変化し、かぐや姫に近づくその瞬間の心理的歪みを捉えた動的な表現だった。

線画そのものが感情を語り出す。均一で整った線ではなく、かすれや揺らぎをそのまま残す作画スタイルだからこそ、あの強烈なあごのラインが観客の記憶に刺さって離れない。

小林 直樹
著者

小林 直樹

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。