神奈川県出身の高校生だった杏里(本名・川嶋栄子)が世に出るきっかけとなったのは、類まれなプロポーションと瑞々しいハスキーボイスでした。デビューにあたり楽曲制作を依頼されたのが、すでに気鋭のシンガーソングライターとして名を馳せていた尾崎亜美です。
当時、尾崎亜美への楽曲提供オファーは多忙を極めていましたが、実際に杏里本人と対面した尾崎は、彼女が持つ飾らない人柄としなやかな感性に強いインスピレーションを受けました。杏里の自宅に泊まり込み、夜を徹して語り合う中で、10代の少女が背伸びをして大人の恋に触れるような、切なくも洗練された世界観が構想されたと伝えられています。
尾崎亜美がピアノに向かい、杏里の目の前で一気に書き上げたのが「オリビアを聴きながら」でした。当時の杏里自身はサーフィンやポップな洋楽を好む快活な少女であり、当初はこの哀愁漂う大人の失恋ソングを歌いこなすことに戸惑いもあったと後の対談エピソードで振り返っています。しかし、その背伸びしたピュアな表現こそが、時代を超えて聴き手の胸を打つ決定打となりました。