より深く化学的な機序を紐解いてみよう。主役となるのは、乳成分に含まれる主要たんぱく質である「カゼイン」と、私たちの唾液に豊富に含まれる粘性多糖類「唾液ムチン」である。
酸性条件下において、カゼインは凝固しやすい性質を持つ。これが口内で唾液ムチンと混ざり合うことで、目に見えないほど微細な白色の凝集(クラッド)を形成する。この生成物が咽喉頭粘膜の表面に付着し、一時的に神経末端を刺激することで、あの独特の引っかかりやイガイガとした不快感が生み出されるわけだ。粘膜自体の病変ではなく、あくまで一時的な物理現象であるため、喉の粘膜が不可逆的なダメージを受ける心配はない。