飛騨川バス転落事故の真実|死者104名の惨劇と奇跡の生還が生んだ教訓

飛騨川バス転落事故の真実|死者104名の惨劇と奇跡の生還が生んだ教訓

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2台のバスに乗っていた合計107名のうち、生きて現場を脱出できたのはわずか3名に過ぎなかった。いずれも5号車に乗車していた人々であり、6号車は乗客乗務員全員が帰らぬ人となった。

生還を果たしたのは、5号車の運転手、当時大学生だった男性客、そして中学生だった女子生徒の3名である。当時の特番インタビューや手記に記された彼らの回顧録は、地獄のような極限状態を克明に伝えている。

山鳴りとともに「ドーン」という地響きが轟いた瞬間、大量の土砂がバスの右側面に激突した。車体は一瞬で宙に浮き、横転しながら崖下へ転落。川面に叩きつけられた衝撃でフロントガラスや窓が粉砕され、濁流が車内へ一気に押し寄せた。

運転手は転落の過程で奇跡的にフロントガラスから車外へ投げ出され、流されながらも川岸の岩肌にしがみつき、激痛に耐えながら崖をよじ登った。また、当時大学生の男性は、車内に濁流が満ちる直前、割れた窓から身を乗り出して脱出に成功。暗闇の激流を泳ぎ、流木につかまって岸へと辿り着いた。

中学生の女子生徒は、濁流に呑まれながらも車外へ押し出され、近くの岩礁に引っかかっていたところを、夜明け後に命懸けで降下した救助隊によって奇跡的に引き揚げられた。彼女たちの証言には、「真っ暗闇の中で家族の名前を叫ぶ声が響いていたが、一瞬の水音とともに静まり返った」「車内が水で満たされるまで数十秒もなかった」という、想像を絶する恐怖が刻まれている。

小林 直樹
著者

小林 直樹

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。