赤ちゃんの肌に見られるカフェオレ斑について、多くの親が真っ先に抱く疑問が「放置しても自然に消えるのか」という点です。結論から述べると、お尻や背中に現れる青あざ(蒙古斑)とは異なり、カフェオレ斑が自然に消えるケースは極めて稀とされています。身体の成長に伴って皮膚が伸びるため相対的に薄く見えたり、輪郭がぼやけたりすることはあっても、色素そのものが跡形もなく消失することは基本的に期待できません。
なぜこの茶色いあざが生じるのでしょうか。その根本的なメカニズムは、表皮の最下層にあるメラノサイト(色素細胞)の局所的な活性化にあります。カフェオレ斑の病理組織を顕微鏡で観察すると、メラノサイトの数自体は正常あるいは軽度増加にとどまるものの、細胞内で生成されるメラニン色素の量が局所的に過剰となり、表皮の基底層に沈着していることが確認されます。つまり、皮膚の奥深くにメラニンが存在する青あざとは異なり、皮膚の非常に浅い層(表皮)にメラニンが滞留している状態です。
放置してよいかどうかの判断は、あざの性質によって完全に分かれます。境界が明瞭で、色むらがなく均一な淡褐色をしており、全身で1〜2個程度にとどまる単発性の病変であれば、内臓や神経系に悪影響を及ぼす心配はありません。医学的には経過観察のみで十分であり、無理に切除や照射を行う必要性はないというのが、小児皮膚科における共通見解です。