大手コミュニティサイトやSNSの相談窓口には、ピアスホールの残存に関する切実な声が数多く寄せられています。「ピアスホールを塞ぎたいと思い、1年半ほど外して過ごしてきたが、写真のようにくっきりと跡が残ったまま」「10年放置しても細い糸が通るような窪みが消えない」といった告白は、決して珍しい例外ではありません。
結論から言えば、ピアスの跡の自然治癒期間はホールの状態によって決定的な差が生じます。開けてから数週間から数カ月程度で、まだ内部の傷が治りきっていない「未完成」の状態であれば、ピアスを外して数日から数週間で肉芽組織が傷を埋め、自然に塞がっていきます。しかし、開けてから半年以上が経過し、分泌物も出なくなってホールが完成している場合、話はまったく別です。
ピアスホールが完成するとは、医学的には「皮膚の上皮化(じょうひか)」が完了した状態を指します。傷口の表面を皮膚が覆い尽くし、表から裏へと貫通する「皮膚でできたトンネル」が恒久的に出来上がってしまうのです。こうなると、人間の身体はそこを「傷口」とは認識しなくなります。擦り傷が治るような自然治癒のスイッチは完全にオフになっているため、何年、何十年放置しようとも、外側の窪みやトンネル構造が自然消滅することはありません。
形成外科医への取材によると、「放置して塞がった」と感じる人の多くは、トンネルの内部に皮脂や角質が詰まって開口部が一時的に塞がって見えているか、あるいは内部で癒着が起きたに過ぎず、外見上の窪みや皮膚の変形は生涯にわたって残り続けるケースが大多数を占めます。