一般家庭において最も根強く蔓延している誤解が、「お掃除機能付きエアコンを買ったから、内部洗浄は何年も頼む必要がない」という思い込みです。家電量販店のセールストークを鵜呑みにした結果、購入から5〜6年間一度も手入れをせず、吹き出し口がヘドロ状のカビで埋め尽くされてから慌てて業者を呼ぶケースが現場で後を絶ちません。
前述の通り、自動お掃除ロボットが清掃するのは「外側のプレフィルター」に載った大きな綿ボコリだけです。フィルターの網目を通り抜けた微小なチリや、キッチンから吸い込んだ油煙、そして冷房時に熱交換器で結露した水分は、すべてドレンパンとファン周辺に蓄積されます。むしろ、内部にお掃除ユニットという巨大なプラスチック構造物が密集している分、通気性が悪化し、通常型エアコンよりもカビの増殖スピードが速いことすらあります。「自動お掃除付き=メンテナンスフリー」という神話は、今すぐ捨てるべきです。
また、ホームセンター等で市販されている「エアコン洗浄スプレー」を用いたDIY掃除にも、極めて重大なリスクが存在します。独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の発表でも再三警告されている通り、市販スプレーの噴霧液が電装基盤やファンモーターに付着して生じるトラッキング現象による発煙・火災事故が全国で相次いでいます。さらに、素人がスプレーを吹き付けると、熱交換器の奥へカビやホコリを押し固めてしまい、水漏れ(オーバーフロー)の直接原因となるだけでなく、中和されていない界面活性剤が新たなカビの極上のエサとなって悪臭を倍加させる結果に終わります。エアコン内部の深層洗浄は、完全な養生と専門機材を持つプロフェッショナルにしか成し得ない聖域なのです。