栄華を極めた能代工業が、なぜ2000年代後半以降、全国の頂点から遠ざかることになったのか。ファンの間では「名門の弱体化」と短絡的に語られがちですが、その真相は指導力の低下などではなく、日本高校バスケットボール界における急激な構造改革にありました。
最大の転換点は、福岡第一や開志国際、東山、福岡大学附属大濠、仙台大学附属明成といった私立強豪校の台頭です。私立校は全国規模のスカウト網と特待生制度を完備し、さらにアフリカをはじめとする留学生センターを積極的に招聘。高校バスケは劇的な「高さ」と「身体能力」のインフレ期に突入しました。2メートルを超えるサイズと跳躍力を誇る留学生に対し、公立高校である能代工業の「平面バスケ」だけではインサイドの防戦が極めて困難になったのです。
加えて、公立高校特有の制度的制約も重くのしかかりました。教員異動の規定による指導体制の維持難、推薦入学枠の制限、遠方からの下宿生受け入れに関するインフラ格差など、私立勢との経営体力・環境格差は年を追うごとに広がっていったのが実情です。