同神社を語る上で欠かせないのが、飛騨地方に伝わる伝統人形の起源です。飛騨高山さるぼぼ由来を紐解くと、その発祥は平安時代に貴族の間で親しまれた「這子(ほうこ)」や「天児(あまがつ)」といった厄除けの形代(かたしろ)にまで遡ります。雪深き飛騨の寒村で、母親や祖母が端切れを縫い合わせ、我が子や孫の健やかな成長と疫病退散を祈って手作りしたのが始まりでした。
「さるぼぼ」とは飛騨弁で「猿の赤ん坊」を意味します。古来、猿は多産で母子愛が深いことから、さるぼぼ縁結び子宝安産の強力な守り神として尊ばれてきました。さらに「猿(エン=縁)」に通じることから良縁を招き、「災いが去る(サル)」という音韻の掛詞から、強力な魔除けの呪具としても位置づけられています。
特徴的な「顔が描かれていない意匠」にも深い民俗学的意味が込められています。顔がないからこそ、持ち主が悲しいときには悲しげに寄り添い、喜びのときには微笑んでいるように見えるのです。自己の感情を投影できる白紙の器としての性質が、数百年を超えて人々の祈りを受け止めてきました。
このさるぼぼが、恵比寿・大黒天・毘沙門天・弁財天・福禄寿・寿老人・布袋の七柱と合一したことで、さるぼぼ七福神社ご利益は以下のような全方位の守護力を獲得するに至りました。
- 恵比寿さるぼぼ:商売繁盛、大漁豊作、誠実な取引の成立
- 大黒天さるぼぼ:金運招福、財宝賦与、五穀豊穣
- 弁財天さるぼぼ:恋愛成就、学問・芸術上達、美の祈願
- 毘沙門天さるぼぼ:勝運向上、厄除開運、悪縁切り
- 布袋さるぼぼ:夫婦円満、子宝安産、度量拡大
- 福禄寿さるぼぼ:子孫繁栄、財産保全、出世招福
- 寿老人さるぼぼ:無病息災、延命長寿、家族の健康維持