通夜や葬儀・告別式の受付、あるいは忌引き明けの職場復帰時に、参列者や同僚から「このたびはご愁傷様でございます」と声をかけられた際、どのような言葉を返せばよいのでしょうか。「ありがとう」と返してよいのか、それとも別の定型句があるのか、戸惑う遺族は少なくありません。
結論から申し上げますと、弔問の挨拶に対する返礼は「お気遣いいただき、恐れ入ります」や「お心遣い、痛み入ります」という謙遜を含んだ謝意の表現が最も品格を保てます。「ありがとうございます」という言葉自体が禁忌というわけではありませんが、不幸な事象そのものに対して感謝しているかのような語感の歪みを嫌う伝統的な作法においては、「温かいお気遣いに感謝する」というニュアンスを込めて「恐縮です」「恐れ入ります」と言い換えるのが美しい所作とされています。
また、故人と親しかった方からお悔やみを告げられた場合は、「生前は大変お世話になりました。故人も喜んでいると存じます」と一言添えることで、双方の敬意が自然に循環します。深い悲しみの中にいる遺族が長々と挨拶を述べる必要は毛頭ありません。深く会釈を交わし、小さな声で「恐れ入ります」と一言返すだけで、現場のマナーとしては百点満点です。