旅の満足度を大きく左右する食環境において、ネット上の口コミと現場の実情には大きな乖離が生じています。代表格が、SNSで拡散される四条河原町ランチ評判と、京都の台所と称されてきた錦市場周辺おすすめグルメの変遷です。
現在、錦市場では食べ歩き(歩きながらの飲食)が条例および振興組合ルールにより厳しく制限されています。かつての四条通食べ歩き最新トレンドとして紹介されていた「串刺しの海鮮やスイーツを持って練り歩くスタイル」は過去のものとなり、原則として購入店舗の指定イートインスペース内での飲食が義務付けられています。これを知らずに訪れ、警備員や店舗スタッフから注意を受けて当惑する観光客の姿が日常的に見られます。
さらに、市場内の価格設定はインバウンド需要を見据えて急騰しました。和牛串1本が3,000円、海鮮丼が5,000円を超える店舗が軒を連ねる一方、地元民の利用率は著しく低下しています。しかし、錦市場から南北に延びる「御幸町通」や「麩屋町通」の路地奥には、昔ながらの出汁文化を継承する京うどんの名店や、昼限定の西京焼き定食を1,500円前後で提供する割烹がしっかりと生き残っています。派手な看板や多言語の呼び込みに惑わされず、一歩奥へ踏み込む審美眼が求められます。