漫画史において「元祖ヤンデレ」と評される山岸由花子とのエピソードは、康一くんの人間的器の大きさを決定づけたエピソードです。拉致監禁、感電による学習強要、暴力的支配というトラウマ必至のシチュエーションにおいて、康一くんが選んだ行動は単なる「敵の撃破」にとどまりませんでした。
ACT2の能力で由花子を崖から突き落とす形になった際、康一くんはとっさに擬音のクッションを作り彼女の命を救います。さらに辻神彩のエステ「シンデレラ」の編では、自らの過ちで顔を失い絶望する由花子に対し、彼女の本来の美しさを肯定した上で、もし間違った顔を選んで失明することになっても「由花子さん、君を恨みはしない」と言い放ちました。
【プロの結論】健全な境界線が病理的な共依存を対等なパートナーシップへ変える
臨床心理学や家族社会学の視座から見ると、由花子の行動は典型的な「境界性パーソナリティ障害的傾向」や「過剰な承認欲求に基づく支配」に該当します。一般的な人間関係であれば、双方が疲弊する「共依存関係」に陥るか、恐怖による完全な関係断絶を迎えるのが自然な結末です。
しかし康一くんは、理不尽な束縛には「ノー」と明確な心理的バウンダリー(自他の境界線)を引きつつ、由花子の人間性そのものは決して否定せず丸ごと包み込む選択を取りました。相手の弱さや狂気から逃げず、自己犠牲ではなく自己の信念に基づいて相手と向き合う。この並外れた情緒的成熟があったからこそ、二人の関係は歪んだ執着から地域屈指の公認カップルへと奇跡的な着地を果たしたのです。