入居時に仲介業者から提示される見積書を精査すると、ほぼ例外なく「火災保険料:2年間で20,000円〜25,000円」といった項目が機械的に組み込まれています。ここにも一般の消費者が知らない制度上の重要なポイントが存在します。
結論から言えば、賃貸火災保険加入の義務と選び方において、契約上「火災保険に加入すること」自体は賃貸借契約の特約で義務付けられることがほとんどですが、「不動産屋が提示した特定の保険代理店・保険商品で加入しなければならない」という法的義務は一切ありません。
大家側が保険加入を求める最大の理由は、万が一火災や漏水事故を起こした際に、借主が原状回復責任を全うできるようにするためです。賃貸向け火災保険の本体は、火事を出した部屋を大家に対して賠償する「借家人賠償責任特約」と、階下への水漏れ等に対応する「個人賠償責任保険」、そして自らの家具家電を守る「家財保険」の3本柱で成り立っています。
不動産会社が斡旋してくるプランは、手数料収入を目的として補償額が過剰に設定されていたり、割高な代理店手数料が上乗せされていたりすることが珍しくありません。自らネット専業の賃貸用損害保険(チューリッヒ少額短期保険や日新火災など)を探して申し込めば、借家人賠償2,000万円・個人賠償1億円といった同等以上の十分な補償内容でありながら、2年間で8,000円〜10,000円前後と半額以下のコストに抑えることが可能です。
「指定の保険に入らないと契約させない」と強弁する業者は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)が禁じる抱き合わせ販売に抵触する恐れがあります。契約前に「同等の補償内容を持つ外部の保険に自分で加入し、証券のコピーを提出します」と冷静に申し出るだけで、無駄な支出を1万円以上削減できます。