一般に親しまれている「為せば成る(なせばなる)」は、短歌形式の教訓歌の初句です。完結した一首の歌は、以下の全31文字で構成されています。
「為せば成る 為さねば成らぬ 何事も 成らぬは人の 為さぬなりけり」
(なせばなる なさねばならぬ なにごとも ならぬはひとの なさぬなりけり)
この歌を現代語に直訳すると、「どのような事柄であっても、行動を起こせば成し遂げられる。行動を起こさなければ何事も成就しない。物事が達成できないのは、能力の欠如ではなく、人が実行に移そうとしないからである」という意味になります。
文法上の構造に目を向けると、「為す(行動する)」という動詞の肯定と否定がリズミカルに対比され、最後の「為さぬなりけり」で強い断定と詠嘆が置かれています。作者が伝えたかった核心は、「できるか・できないか」という結果の成否ではなく、「やるか・やらないか」という主体的行動の有無にあります。
目標が頓挫した際、人は環境や才能、リソースの不足を理由にしがちです。しかし本歌は「できないと諦めている状態は、単に行動を放棄しているに過ぎない」と鋭く指摘します。自己責任論として突き放すのではなく、実行への一歩を踏み出す勇気を促す言葉として、時代を超えて座右の銘に選ばれ続けています。