虹村億泰のスタンド史を語る上で欠かせないのが、物語のクライマックスである吉良吉影戦での活躍と、一度は絶望視された死亡フラグの粉砕劇です。
最終決戦において、吉良吉影が猫草(ストレイ・キャット)の空気弾とキラークイーンの点火能力を融合させた不可視の接触爆弾に対し、億泰は仗助を庇う形で直撃を受けます。腹部を大きく吹き飛ばされ、脈拍も呼吸も完全に停止した億泰の姿に、当時の連載読者やアニメ視聴者の間では「億泰は死亡したのか、それとも生存するのか」と激しい衝撃が走りました。
仗助がどれほどクレイジー・ダイヤモンドで致命傷を修復しても、魂が抜けた肉体は動かず、冷たくなっていくばかりでした。しかし、まさに仗助が絶体絶命の窮地に追い詰められたその瞬間、億泰は奇跡の生還を果たします。
この復活劇における核心は、億泰が見た「夢」の中にありました。夢の中で彼は、かつてレッド・ホット・チリ・ペッパーの手によって命を奪われた敬愛する兄・虹村形兆と再会します。形兆は億泰に向かって静かにこう問いかけました。
「億泰、行き先を決めるのはおまえだ。おまえが決めるんだ」
これまで人生のすべての決断を優秀な兄に委ねてきた億泰が、初めて自分の意志で「オレは杜王町へ行く。仗助たちと一緒にいる」と決断したのです。意識を取り戻した億泰は、すかさずザ・ハンドの右手で吉良の手元から空気弾と猫草のカプセルを削り取り、一瞬で自らの手元へ引き寄せました。この電石火火のアシストが吉良の完全敗北を決定づける決定打となり、ファンコミュニティでは「ジョジョ史上最も熱い覚醒シーン」として今なお語り継がれています。