「公営の斎場なのだから、誰でも格安でスムーズに利用できる」という認識を抱いているなら、直ちにその思い込みを改める必要があります。堺市立斎場を利用する上で、まず突き当たる決定的な壁が「市民料金」と「市外料金」の著しい格差です。
堺市の公式条例に基づき、故人(死亡者)が死亡時に堺市の住民基本台帳に登録されていた場合、公営施設としての手厚い優遇が適用されます。しかし、故人が堺市外の住民であった場合、負担額は跳ね上がります。取材に応じた市内大手葬儀社の担当者は、次のように現場の実情を明かします。
「喪主様が堺市在住であっても、亡くなられた親御様が隣接する松原市や和泉市の高齢者施設に移住されていた場合、故人基準で『市外料金』が適用されます。この点を見落とし、見積もり段階で数十万円単位の価格差に驚かれるご遺族は珍しくありません」
予約手順においても注意が求められます。堺市立斎場の火葬炉や併設式場の空き状況照会・予約は、堺市の火葬場予約システムを介して行われますが、原則として一般市民が直接ウェブから枠を押さえることはできません。認可を受けた葬儀事業者を介して予約を代行してもらう流れが標準となっています。病院から搬送を急かされ、提携葬儀社に言われるがまま手続きを進めた結果、希望の日時や式場が空いておらず、長期の待機を余儀なくされるケースが頻発しています。