チェルノブイリ「象の足」の正体と現在|致死線量と撮影者の真実

チェルノブイリ「象の足」の正体と現在|致死線量と撮影者の真実

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チェルノブイリ原発事故の経緯を振り返ると、4号機で実施されたタービン発電機の惰性回転テスト中に生じた致命的な設計上の欠陥と運転員の判断ミスが重なり、炉心出力が制御不能な暴走状態に陥りました。爆発直後、炉心内部の温度は2,000℃を超える極限状態に達し、ウラン燃料ペレットを収めたジルコニウム合金の被覆管、火災鎮火のために上空から投下されたケイ酸塩砂や鉛、そして原子炉建屋を支えていた強固なコンクリート土台までもがドロドロに溶け落ちました。

この灼熱の液体塊こそが、原子力工学用語で呼ばれるコリウム(溶融燃料)です。溶岩のような流動性を持ったコリウムは、格納容器の床を焼き破り、配管ダクトや排水路を通じて原子炉下部の蒸気分配プールへと流出しました。その過程で冷却され、床面で固着した約2トンの塊が、1986年12月にクルチャトフ研究所の調査チームによって発見された「象の足」の正体です。

幅約2メートル、厚みは数十センチに及ぶこの物体は、二酸化ウランを約10%含み、大半はコンクリート由来の二酸化ケイ素(シリカ)やジルコニウムで構成された極めて硬質なガラス状セラミック構造を形成していました。当時の調査員がドリルでのサンプル採取を試みたものの、物質があまりに硬質であったためダイヤモンドビットが破損し、最終的には軍用ライフル(AK-47)の徹甲弾を遠隔から撃ち込んで表面の破片を弾き飛ばしたという特異な記録が残されています。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。