「名前のない寿司屋」の元祖として知られる拠点は、新宿歌舞伎町、さくら通りや区役所通りに近接した雑居ビルのフロアに位置していました。最寄り駅であるJR新宿駅東口や西武新宿駅から徒歩数分という超一等地でありながら、外観からは飲食店の気配すら感じさせず、初訪問の客がフロア案内板の前で途方に暮れる姿は日常茶飯事でした。
この店を利用するにあたり、初見の客が最も面食らうのが厳格に敷かれた独自のシステムと店内ルールです。ネット上での「10円で寿司が腹いっぱい食える」という誇大妄想を抱いて突撃した客は、入店直後にそのシビアな仕組みを思い知ることになります。
現場で実際に運用されていた基本ルールは、主に以下の通りです。
- ワンドリンクオーダー制の徹底:寿司を注文する前に、必ず1人1杯以上のアルコールやソフトドリンクの注文が義務付けられる。
- チャージ料金(お通し代)の発生:着席と同時に小鉢などのお通しが提供され、数百円の手数料が席代として加算される。
- 10円寿司の注文上限・条件:10円で注文できるのは「その日の指定ネタ」のみで、1回の注文につき1人3貫〜5貫程度までといった制限が存在。さらに「他の通常握りや一品料理を1品以上注文すること」がトリガーとなるケースも多い。
- 現金決済オンリー&スピード退店:回転率を極限まで高めるため、混雑時は60分〜90分の時間制限が課され、支払いは完全現金前払いまたは即時会計。
なお、事前の席予約は基本的に受け付けておらず、店頭での直接並び順のみというスタイルを貫いていました。電話番号すら非公開、あるいは予約不可というハードルの高さが、かえって都市伝説的なプレミアム感を醸成していた側面は見逃せません。