本作の説得力を支えているのは、若手実力派キャスト陣による過不足のない演技です。主演の間宮祥太朗は、粗暴な言動の裏に繊細な優しさと虚無感を隠し持つ小坂を、低音の効いたリアルなトーンで体現。桜井日奈子は、従来の明るいイメージを完全に封印し、自己否定の檻に囚われた鹿野の痛々しさと純粋さを渾身の演技で表現しました。
また、脇を固めるキャスト陣の存在感も際立っています。
- きゃぴ子(堀田真由)× 地味子(恒松祐里):誰からも愛されたい承認欲求に溺れるきゃぴ子と、彼女を無条件の肯定で守り続ける地味子。ふたりの間に流れる「友情」を超えた深い絆は、観客の涙を誘います。
- 撫子(箭内夢菜)× 八千代(ゆうたろう):「好き」と毎日屈託なく伝え続ける撫子と、感情を閉ざし他人と距離を置く八千代。対極にあるふたりのやり取りは、重いテーマが続く本作の中で清涼剤のような輝きを放ちます。
作中に散りばめられたセリフの数々も、観客の心に強く刻まれます。
- 「死にたいって言うなよ、殺したくなる」(小坂)
- 「死んでほしくないからだよ」(鹿野)
- 「可愛いって言ってくれる人がいなくなったら、私、死んじゃう」(きゃぴ子)
- 「世界中があなたの敵になっても、私はあなたの味方だよ」(地味子)
表面上は過激で不器用な言葉の裏側に、他者を激しく求め、孤独から逃れたいと願う人間の剥き出しの本音が込められています。