星野源『アイデア』に秘められた真実|朝ドラ主題歌の常識を壊した名曲の深層

星野源『アイデア』に秘められた真実|朝ドラ主題歌の常識を壊した名曲の深層

星野源『アイデア』に秘められた真実|朝ドラ主題歌の常識を壊した名曲の深層の見逃せないポイントをわかりやすく整理しました。

NHK朝の連続テレビ小説第98作『半分、青い。』(脚本:北川悦吏子、主演:永野芽郁)の主題歌として書き下ろされた『アイデア』。オファーを受けた星野源は、毎朝日本中のリビングに流れる音楽として、類を見ないアプローチを試みました。それは「朝だからといって、無責任な明るさだけで塗り固めた歌にはしない」という強い意志でした。

主人公・楡野鈴愛が幼少期に左耳の聴力を失うという設定に対し、星野自身も2012年と2013年にくも膜下出血で二度の生死の境をさまよった過酷な闘病体験を持っています。当時のインタビューや手記において星野は、「絶望の底にいたとき、無理やり励ますような言葉は一切響かなかった。本当に人を救うのは、闇の存在を認めた上で鳴らされる音楽だ」と述懐しています。

歌詞の冒頭は「おはよう 世の中」という爽やかな挨拶で始まりますが、サビでは「生きてただ生きていて 踏まれ潰れた花に成るな」「闇の中から 手を伸ばせ」という、朝ドラ主題歌としては異例とも言える切実なフレーズが響き渡ります。これは、挫折や病、喪失といった逃れられない現実(=影)に直面した人間が、それでも明日を生き抜くために知恵を絞り出す姿を描いたものであり、タイトルである『アイデア』の真の意義がここに刻まれています。

清水 千尋
著者

清水 千尋

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。