鉄道警察隊や弁護士への取材、およびSNS・被害者相談窓口に寄せられた実態調査によると、満員電車におけるちくび痴漢の手口は年々巧妙化しています。
代表的な手口として挙げられるのが、「荷物や傘を盾にしたブラインド操作」です。抱えたリュックサックの下や吊り革を持つ腕の陰から指先だけを伸ばし、周囲の視界を遮りながらピンポイントで被害者の乳首を狙います。また、電車の揺れに合わせて接触を繰り返し、「混雑による不可抗力」を装って被害者が声を上げにくい状況を作り出す手口も多発しています。
被害に遭った女性の手記や証言では、以下のようなリアルな恐怖が共通して語られています。
「混み合った車内で、最初は荷物が当たっているのかと思いました。でも、電車の揺れとは明らかに違うリズムで、指先で服の上から胸の先をつまむような感触が続き、全身の血の気が引きました。怖くて声が出ず、息をすることすらできませんでした」(20代・会社員被害手記より)
被害者がその場で叫んだり犯人を捕まえたりできない背景には、心理学でいう「トニック・イモビリティ(恐怖麻痺・凍結反応)」が存在します。突発的かつ強烈な恐怖や嫌悪感に直面した際、人間の脳は防衛本能として身体を硬直させてしまうため、「声を出せなかった=同意していた」などということは断じてありません。