太田充氏の経歴を語る上で欠かせないのが、財務省(旧大蔵省)内部における圧倒的なキャリア実績です。1960年生まれの同氏は、東京大学法学部を卒業後の1983年に大蔵省へ入省しました。同期には後の有力官僚が名を連ねる中、太田氏は入省当初から「主計局のエース」として頭角を現します。
国の予算編成を司る主計局は、財務省の中でも中枢中の主計畑と呼ばれ、激務と高度な折衝能力が要求される花形部署です。太田氏は防衛、公共事業、社会保障といった難航する予算査定を歴任し、卓越した計数感覚と各省庁・与野党議員とのネゴシエーション能力を発揮しました。大臣官房文書課長や主計局次長、大臣官房総括審議官など、本省中枢のポストを着実に歩み、将来の次官候補として常に名前が挙がる存在でした。
その実直で飾らない語り口と、調整相手に決して嘘をつかない姿勢から、省内外の信頼は非常に厚いものがありました。しかし、順風満帆に見えたエリートコースの歯車は、2017年7月の理財局長就任によって、日本中を揺るがす未曾有の政治的スキャンダルと真正面から衝突することになります。