現在の洗練されたインフルエンサーとしての姿しか知らない若い世代にとって、かつての彼女の足跡は驚きの連続かもしれません。重盛さと美のキャリアを語る上で欠かせないのが、2010年10月に放送されたフジテレビ系『めちゃ×2イケてるッ!』の新メンバーオーディションです。
数万人規模の応募者の中から勝ち上がった彼女は、抜き打ち学力テストで珍解答を連発し、「愛されおバカキャラ」として一世を風靡しました。しかし、単なる天然タレントで終わらなかった点に彼女の真骨頂があります。番組内でどんな無茶振りをされても笑顔を絶やさず、共演者やスタッフの意図を瞬時に汲み取る反射神経は、当時から制作陣の間で高く評価されていました。
その潜在的なクリエイティビティが爆発したのが、2020年のステイホーム期間でした。YouTubeに突如投稿された『重盛さと美 feat. 友達 TOKYO DRIFT FREESTYLE』のラップMVは、瞬く間にカルチャー界隈を席巻。可愛らしいウィスパーボイスで巧みなフロウを繰り出し、手作りの映像でありながら圧倒的なセンスを見せつけたこの動画は、再生回数3,000万回を超えるメガヒットを記録しました。
テレビ局が用意した台本の上で輝く「受動的なタレント」から、自身のセンスでトレンドを作り出す「能動的なアーティスト」へ。この鮮烈な脱皮こそが、彼女を過去のバラエティアイドルから、時代をリードするカルチャーアイコンへと押し上げた決定打です。