水面から垂直に脚を突き上げる「スカーリング」や、空中で複雑に交差させるリフト技において、選手たちが最も意識しているのは技のラインの正確性と高さです。アーティスティックスイミングの採点基準において、審判員は脚の伸び具合、膝のロック、そして骨盤からつま先にかけての直線美を瞬時に視認しなければなりません。
ここで大きな意味を持つのが水着のカッティングです。股上が浅い通常タイプの水着を着用すると、骨盤の関節位置が布地で覆い隠され、脚の開始位置が視覚的に低く見えてしまいます。一方、脚の付け根(大転子付近)まで深く切り込んだハイレグ仕様にすることで、腰の位置が高く見え、下肢全体が長くシャープに映る視覚効果が生まれます。
水飛沫が舞う激しい演技中、審判の目線は「水面からどれだけ高く、均整の取れた脚が出ているか」を一瞬で捉えます。ハイレグによる脚長効果は、単なる審美的な見栄えにとどまらず、回転技のスピード感や難易度(ディフィカルティ)をジャッジに的確にアピールするための極めて実戦的な戦術なのです。