「このセリフは一体どの作品の誰が言ったのか」という疑問に対し、アニメや漫画のデータベースをどれほど精査しても、「ちょっとあんた飛ばしすぎ」という完全一致の決め台詞を持つ単一のキャラクターは見当たりません。報道機関やサブカルチャー研究者の間でも、このフレーズは「典型的なシチュエーション想起型のパロディ」として分類されています。
元ネタの原型として最も有力視されている潮流は大きく分けて2系統存在します。ひとつは、1980年代から1990年代にかけて量産されたヤンキー漫画や走り屋作品(『頭文字D』や『湾岸ミッドナイト』など)において、主人公の暴走運転に巻き込まれた助手席のヒロインが口にする「ちょっと飛ばしすぎよ!」「スピード落として!」といった定番リアクションの変形です。昭和・平成期のフィクションにおいて定型化された「助手席の気の強い少女」のイメージが、ネット空間で抽象化された結果といえます。
もうひとつの決定打となったのが、後述する競走馬・キャラクターの「大逃げ」シーンに対する視聴者側の集合的なツッコミです。特定のアニメキャラが放った台詞ではなく、暴走するキャラクターを見守る視聴者たちの総意がひとつのフレーズに凝縮され、あたかも作中の台詞であったかのように記憶が書き換わる「マンデラ効果」が起きた典型例と分析されています。