「お金をいくら積んでも新車では買えない」という逸話は、ラフェラーリにおいて誇張でも何でもありませんでした。クーペの世界限定生産台数はわずか499台(後にイタリア中部地震復興支援のために1台追加され計500台)。この極小の枠を手に入れるため、フェラーリ本社は極めて厳格な購入条件を課していました。
当時、マラネッロから購入権利の打診を受けたオーナーたちに求められた条件は、噂レベルではなく明確な実績に基づくものでした。具体的には「エンツォ・フェラーリやF40、F50などの歴代限定モデルを所有していること」や「過去に複数台のV12フェラーリを正規ディーラーで新車購入・長期保有している現役の優良顧客であること」です。一部のVIPには「最低でも5台〜10台以上のフェラーリコレクションを保有していること」が足切りラインだったとも明かされています。
フェラーリは転売目的のバイヤーを徹底して排除し、ブランドへの忠誠心と情熱を持つ真のエンスージアストだけに招待状を送りました。この徹底した選定プロセスこそが、新車デリバリー直後から強烈なプレミア価値を生み出す源泉となりました。