SNSや知恵袋などで頻繁に見かけるのが「うな丼は端材や尻尾ばかりが集められている」「うな重は脂の乗った胴体中央の特等席部位である」という俗説です。しかし、職人の現場取材を行うとこの認識は明確な誤解であることが分かります。
蒲焼きの部位の違いについて、鰻は頭側から胴体、尾にかけて一本の魚体として捌かれます。背開き・腹開きいずれの技法であっても、うな丼を提供する際には「半身(胴から尾にかけての一枚)」または「胴体部分の大きな切り身」をそのまま盛り付けるのが通例です。粗悪な端切れを集めて提供するような専門店は存在しません。
また、「並」「上」「特上」「松・竹・梅」というランク付けに関しても、うなぎの並と上の違いやうなぎの特上と並の差は、肉質のランク(等級)ではなく「重箱に乗せる鰻のグラム数と尾数」で厳密に区分されています。並は半身〜3/4尾、上は1尾、特上は1.5尾〜2尾(中割れと呼ばれるご飯の間にも鰻を挟む仕様)といった形が一般的です。
さらに見逃せないのが肝吸い付きの理由です。鰻を丸ごと1尾捌く「上」や「うな重」を注文された場合、その個体から取れた新鮮な内臓(肝)が1つ余るため、お吸い物にして提供できるという板場の合理的な背景が存在しています。