阿部寛のヒゲが強烈なインパクトを残した代表作といえば、古代ローマ人を演じた大ヒット映画『テルマエ・ロマエ』や、NHK大河ドラマ『どうする家康』における武田信玄役が挙げられます。
『テルマエ・ロマエ』のルシウス役では、古代ローマの彫刻を思わせる立体的な肉体美とともに、無駄のない精悍なヒゲがキャラクターのリアリティを劇的に高めました。日本人が古代ローマ人を演じるという異例のキャスティングでありながら、一切の違和感を抱かせなかったのは、阿部寛の骨格と絶妙に計算されたヒゲの造形美があったからに他なりません。
また、大河ドラマ『どうする家康』で演じた武田信玄役では、顔の下半分を覆う威圧感あふれる濃いヒゲと頭髪のスキンヘッドが話題を呼びました。戦国最強の武将としての圧倒的なオーラと威厳をヒゲの質感だけで表現し、画面越しに視聴者を圧倒する怪演を見せました。一方で『下町ロケット』や『新参者』などの現代劇では、役柄の誠実さや実直さを強調するために清潔感のある髭のないスタイルを選択するなど、役柄に応じた引き算の美学も徹底しています。