ネット上のショート動画では「ただ髪をまとめてクリップでパチンと留めるだけ」という簡単アレンジが拡散されていますが、ここにはプロが語らない大きな誤解が含まれています。
第一の誤解は、「ヘアオイルをたっぷり塗れば髪がまとまって留まりやすくなる」という思い込みです。確かにパサつきを抑えるために油分は不可欠ですが、鉱物油ベースの重たいオイルを後頭部や根元付近に過剰塗布すると、髪の表面が滑り台のようになり、クリップのグリップ力が著しく低下します。事前の保湿には、水分保持力の高いヘアミルクをベースに仕込み、オイルやバームは「毛先と顔周りの後れ毛」にのみ塗布するのがプロの現場におけるセオリーです。
第二の誤解は、「クリップが落ちてくるのはバネが弱いからだ」という決めつけです。もちろん粗悪なバネの製品も存在しますが、多くの場合はバネの強さではなく「クリップの歯が地肌に接していないこと」が真因です。表面の毛束だけをすくって空中に浮かせるように挟んでいるため、固定点がグラついてクリップが自重で倒れてしまいます。クリップを開いたら、下側の歯を頭皮を撫でるように滑り込ませてから閉じること。この「地肌タッチ」を意識するだけで、保持力は劇的に向上します。